コラム

IoTモジュールとは?選び方とメーカー・製品例、活用事例を詳しく解説

2024.02.26

IoT

IoT製品は、スマート家電や産業ロボットなどで、一般家庭から企業の事業まで幅広く活用されています。今後も需要の拡大が予想されますが、ゼロからの開発には時間がかかります。

IoT製品の開発で役立つのがIoTモジュールです。IoTモジュールを組み込むとスピーディーな実装を実現できます。

本記事では、IoTモジュールについて定義から活用するメリット、注意点を解説します。本記事の内容を踏まえて自社製品にIoTモジュールを導入するか検討してみてください。

IoTモジュールとは?

デジタルサイネージ、冷蔵庫、ルーター、全地球航法衛生システム、洗濯機、スマートメーター、決算端末、監視カメラのイラスト

そもそもIoTモジュールとは、どのようなものなのでしょうか?

使うメリットやメーカーを紹介する前に、定義や動作原理についてわかりやすく解説していきます。

IoTモジュールの定義

IoTモジュールとは、モデムやルーター、カメラ、センサーなどの機器のIoTを機能させるための装置や部品のことです。今回は特にIoTに不可欠な通信に着目し、IoT通信サービスが利用できる通信モジュールをIoTモジュールとしてご紹介します。省電力で稼働するような設計がされているものが多く、各種機器に組み込む形で使用します。

IoTモジュールの機能

センサーなどで収集された情報は、IoTモジュールの通信機能によってネットワークを経由し、サーバーにアップロードされていきます。機器を扱う側はサーバーに有線や無線で接続し、集められたデータの解析をします。プログラムを組んでおくと、IoTモジュールが組み込まれた各種機器への自動フィードバックも可能となります。

IoTモジュールを使うメリット

各認定作業の簡略化、無線回路やソフトウェアが設計不要

IoTモジュールを各種機器に組み込むと、次の2つのメリットがあります。

  • 各認定作業の簡略化
  • 無線回路やソフトウェアが設計不要

なぜこれらがメリットになるのか解説していきます。

各認定作業の簡略化

IoTモジュールを組み込むことで、機器を設計する際に一般社団法人電波産業会が定める標準規格の遵守や、各種の認証取得の簡略化が可能です。

標準規格とは、周波数の有効利用及び他の利用者との混信の回避を図る目的から定められる国の技術基準と、併せて無線設備や放送設備の適正品質、互換性の確保等、無線機器製造者、利用者等の利便を図る目的から策定される民間の任意基準を取りまとめて策定される民間の規格です。例えば、通信規格のWi-FiのIEEE 802.11も、この標準規格で定められています。
電波を利用する機器は、製品に技術的な不備があると通信ができなくなります。そのため標準規格が定められ、技術的に問題がないという証明書の取得が求められるのです。

また、法律に基づいて取得すべき証明として、技術基準適合証明というものがあります。 技術基準適合証明は、登録証明機関の名称をとって、TELEC認証、JATE認証とも呼ばれる場合があります。

通常、技術基準適合証明の認証取得には次の5ステップが必要です。

  1. 必要書類の用意
  2. ハードウェア・ソフトウェアの準備
  3. 試験サンプルの抽出
  4. 無線試験の受験
  5. 技術基準適合証明書の受け取り

取得するまでに、数カ月かかるケースがあるため、認証済みのIoTモジュールを使用すると開発した機器を販売するまでの期間を短縮できます。

無線回路やソフトウェアが設計不要

IoTモジュールには、すでに無線回路やソフトウェアが搭載されているものもあるため、ゼロからの設計が不要です。

IoTモジュールを使わなかった場合、次の手順が必要となります。

<無線回路の設計>
  • 仕様書作成
  • 電子回路図作成
  • アートワーク作成
  • 試作・評価
<ソフトウェアの設計>
  • 要件定義
  • 設計
  • プログラミング
  • テスト

IoTモジュールを使えば、これらの工程をカットして、空いた時間は自社の別の業務にあてられます。また、それぞれの設計に必要な専門知識を有する人材がいなくても無線化が可能となります。これまで無線対応の機器について、開発・生産をしていなかった企業も、参入しやすくなるでしょう。

しかし、メーカーによってはソフトウェアを搭載していないこともあります。ソフトウェア搭載の有無については、メーカーの製品ページもしくは直接問い合わせて確認しましょう。

IoTモジュールの選び方

通信規格、動作環境、サイズ

IoTモジュールは次の3つの基準で厳選しないと、完成したIoT製品が想定通りの性能を発揮できないことがあります。

  • 通信規格
  • 動作環境
  • サイズ

それぞれの基準について詳しく解説していきます。

通信規格

通信規格は、IoTモジュールの通信距離や通信速度の性能に大きな影響を与えます。今回は次の通信規格について紹介します。

  • LTE
  • LTE-M
  • ELTRES
  • Wi-Fi
  • Bluetooth
  • ZigBee

通信規格は国際的に標準化され、海外メーカーが販売しているIoTモジュールでも国内で利用可能です。

通信距離

通信規格ごとの通信距離は、次のようになっています。
通信距離とは、送信機と受信機の間に遮蔽物がない場合においての通信が可能な距離を指します。

通信規格 通信距離の目安
LTE 〜10km
LTE-M ~10km
ELTRES ~100km
Wi-Fi ~100m
Bluetooth ~100m
ZigBee ~70m

通信距離は、つながる機器の間に障害物や電波干渉がないことが前提です。特に電波干渉は目で見えないため、つながらない場合は、周辺に障害物や電波を発生させる機器がないかを確認しましょう。

SIMでLTEなどの通信ができると、通信キャリアが全国に設置している基地局を利用できるため、通信距離を延ばせます。基地局経由でつながっていると、大本の機器と1,000km以上離れていてもリアルタイムでのやり取りが可能です。

通信速度

通信規格ごとの通信速度は、次のようになっています。

通信規格 通信速度の目安
LTE 下り最大 :1.7Gbps
上り最大 :131.3Mbps*
LTE-M 下り最大 :1Mbps
上り最大 :1Mbps
ELTRES 最大6.35Kbps
Wi-Fi 最大: 9.6Gbps (Wi-Fi 6の場合)
Bluetooth 最大:3Mbps
ZigBee 最大:250Kbps

送信したいデータが画像であれば1Mbps程度、動画であれば10Mbps程度と、通信速度の速いIoTモジュールを選ぶ必要があります。しかし、指定時間ごとに温度・湿度センサーで得た温度と湿度情報を送信するといった目的であれば、通信速度はあまり重要ではありません。

*LTEの通信速度についてはこちらを参照しております。

また、通信規格を選ぶ際には、通信距離や通信速度だけでなく、インターネット接続の方法にも注意するとよいでしょう。
通信規格によっては、直接インターネットに接続(ダイレクト接続)できる場合とできない場合があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

インターネットにダイレクト接続できる通信規格:LTEやLTE-M
  • 利点:IoT製品を設置するだけでインターネット接続が可能。
  • 制約:使用するIoT製品の台数が多い場合、SIMを差し込む工数がかかる。
インターネットにダイレクト接続できない通信規格:BluetoothやZigbee
  • 利点:ゲートウェイを使用して、IoT製品からサーバーへの通信をまとめて効率的に行える。
  • 制約:ゲートウェイの設置が必要。固定回線の開通工事など工数がさらにかかる場合がある。

最終製品のユースケースを想定しながら通信規格を選択すると、よりニーズに合った製品の開発につなげられるでしょう。

動作環境

IoTモジュールは精密機械で、製品ごとに動作が可能な温度の範囲が決まっています。動作環境を想定せずに選び範囲外で使おうとすると、通信ができなくなるかもしれません。動作環境に合ったものを選びましょう。

温度の上限は室内で使う場合でも、高負荷の処理を長時間行う機器やサーバーでは、IoTモジュールが高温になります。高負荷の処理を行う可能性がある場合は動作温度の上限が高いものを選ぶと良いとされています。

また、室外で使う場合でも寒い地域では、温度の下限も比較して選ぶ必要があります。北海道や東北などでは、冬にマイナス10度以下になることは珍しくありません。想定される操作環境に耐えうるIoTモジュールを選ばないと、本来の機能が発揮されません。

サイズ

IoTモジュールのサイズが小さいほど組み込まれた製品もコンパクトにできます。特にスマートウォッチやリストバンド型のウェアラブル端末では、IoTモジュールのサイズが重要になります。

理想の完成形から逆算して、どの程度のサイズまでであれば組み込めるかを検討するようにしてください。

IoTモジュールのメーカー・製品例

IoTモジュールのメーカーと製品の一例を紹介します。

メーカー名 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 セイコーソリューションズ株式会社 ディジ インターナショナル株式会社 株式会社IDY テリットワイヤレスソリューションズ社 サイレックス・テクノロジー株式会社 加賀FEI株式会社
主な製品名 CXM1501AGR MM-M61D Digi xbee 3 802.15.4 LTE-Mモジュール iS105B ME310G1-WW SX-SDMAH(JP) WKM320AA1
通信規格 ELTRES FDD-LTE Zigbee、802.15.4、DigiMesh®、BLE、Bluetooth LTE Cat.1、LTE-M LTE-M IEEE 802.11ah (1x1) IEEE802.11b/g/n
通信速度 6.35Kbps 下り最大:10Mbps
上り最大:5Mbps
RF 250Kbps、シリアル最大1Mbps 最大3.75Mbps 下り最大:588Kbps
上り最大:1Mbps
最大:15Mbps
※理論値
※送信時間制限を考慮せず
最大 72.2 Mbps
動作温度 -30~85度 -20〜60度(結露なし) -40~85度 -30℃〜+75℃ -40~85度 温度条件:-40~85℃
湿度条件:15~95%RH (結露なきこと)
-30℃~85℃
サイズ(幅×高さ×厚さ) 16 × 16 × 2 mm 31 × 45 × 3.2 mm 13 × 19 × 2 mm 35.7 × 36.5 × max.6 mm 15 × 18 × 2.6 mm 17.0 × 18.0 × 2.65mm 21.4 x 14.0 x 2.4max mm
重量 1g 8g以下 非公開 8g 1.5g 1.6g 非公開
適合済み認証 技術基準適合証明 007-AJ0210 技術基準適合証明 非公開 技術基準適合証明 技術基準適合証明/JATE・TELEC 技術基準適合証明 日本・米国・カナダ電波法認証取得済
*EN300328のConduction Test Reportの準備あり

メーカーの特徴や主な製品のスペックを紹介しますので、選ぶ際の参考にしてください。

※IoT通信サービスで利用できる「通信モジュール」として販売されている商品も、下記では「IoTモジュール」としてご紹介させていただいております。

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社「CXM1501AGR」

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、ソニーグループが100%出資するイメージセンサーの開発・販売がメインのメーカーです。イメージセンサーの分野でシェアは世界トップクラスで、産業用からモバイル用まで幅広く使われています。

IoTモジュールのCXM1501AGRは、独自開発のELTRESという無線の規格に対応しており、920MHz帯を利用するため免許は不要です。設計は低消費電力にも力を入れ、送信の出力は20mWとなっています。GNSSチップも内蔵しています。海外向けのシリーズもあり、組み込んだ製品の海外展開も検討できます。

主な製品 CXM1501AGR
通信規格 ELTRES
通信速度 6.35Kbps
動作温度 -30~85度
サイズ(幅×高さ×厚さ) 16 × 16 × 2 mm
重量 1g
適合済み認証 技術基準適合証明 007-AJ0210
ホームページ https://www.sony-semicon.com/ja/eltres/module.html

セイコーソリューションズ株式会社「MM-M61D」

セイコーソリューションズ株式会社は、時計などで有名なセイコーのグループ会社で、千葉に本社を構えてネットワーク機器やソフトウェアを提供しているメーカーです。顧客のビジネスモデルの変革をDXでサポートし、開発された製品は業界を問わず導入されています。

主なIoTモジュールであるMM-M61Dは、高音質での音声通話を得意とする製品です。ATMやエレベーターなどで、緊急連絡を可能にするために組み込まれ、本体のみでも位置情報機能があります。トラブルの発生場所も把握が必要な機器を開発する際に、役立ってくれます。

主な製品 MM-M61D
通信規格 FDD-LTE
通信速度 下り最大: 10Mbps
上り最大: 5Mbps
動作温度 -20~60度(結露なし)
サイズ(幅×高さ×厚さ) 31 × 45 × 3.2 mm
重量 8g以下
適合済み認証 技術基準適合証明
ホームページ https://www.seiko-sol.co.jp/products/mm-m61d/

ディジ インターナショナル株式会社「Digi xbee 3 802.15.4」

ディジ インターナショナル株式会社は、アメリカに本社があるIoTやM2Mの接続関連機器を扱うメーカーです。通信モジュール以外に、ルーターやゲートウェイ、インフラ管理用の機器も販売しています。

主な製品であるDigi xbee 3 802.15.4は、ZigbeeやBluetoothでの接続に1つのモジュールで対応でき、低コストでIoT機器の製造が可能です。制御するためのプラットフォームはWindows、iOS、Linuxと互換性があり、現状のOSでも導入しやすくなっています。

主な製品 Digi xbee 3 802.15.4
通信規格 Zigbee、802.15.4、DigiMesh®、BLE、Bluetooth
通信速度 RF 250Kbps、シリアル最大1Mbps
動作温度 -40~85度
サイズ(幅×高さ×厚さ) 13 × 19 × 2 mm
重量 非公開
適合済み認証 非公開
ホームページ https://www.digi-intl.co.jp/products/embedded-systems/digi-xbee/rf-modules/2-4-ghz-rf-modules/xbee3-802-15-4.html

株式会社IDY「LTE-Mモジュール iS105B」

株式会社IDYは、東京に本社を構える高速無線ゲートウェイや4G・5Gの基地局に関する開発・製造・販売を行うメーカーです。設計から製造までを国内で行い、提供されるアプリケーションは、顧客ごとにカスタマイズもしてくれます。

2023年現在販売されているLTE-Mモジュール iS105Bは、NTTドコモの通信に対応した製品です。通信速度は最大で3.75Mbpsにおさえられ、低消費電力のため、長時間運用が前提のスマートメーターやテレマティクスへの組み込みに向いています。

主な製品 LTE-Mモジュール iS105B
通信規格 LTE Cat.1、LTE-M
通信速度 最大3.75Mbps
動作温度 -30℃〜+75℃
サイズ(幅×高さ×厚さ) 35.7 × 36.5 ×max.6 mm
重量 8g
適合済み認証 技術基準適合証明
ホームページ https://idy-design.com/product/is105b.html

テリットワイヤレスソリューションズ社「ME310G1-WW」

テリットワイヤレスソリューションズ社は、アメリカに本社がありIoT分野で20年以上の実績があるメーカーです。製造された無線通信用ICや通信モジュールは、世界で7,000以上の企業が活用しています。

2024年現在発売中のME310G1-WWは、高速通信より低コスト・低消費電力を重視した設計で、製造業や医療業界の機器のIoTに向いています。音声通信も必要な場合は、同シリーズのME310G1-WWVを採用しましょう。

主な製品 ME310G1-WW
通信規格 LTE-M
通信速度 下り最大:588Kbps 上り最大:1Mbps
動作温度 -40〜85度
サイズ(幅×高さ×厚さ) 15 × 18 × 2.6 mm
重量 1.5g
適合済み認証 技術基準適合証明/JATE・TELEC
ホームページ https://www.telit.com/wp-content/uploads/2023/06/TC_ME310G1_Product_Brief.pdf

サイレックス・テクノロジー株式会社「SX-SDMAH(JP)」

サイレックス・テクノロジー社は、ハードウェア・ソフトウェアの技術を核とした日本の研究開発型企業です。安全で信頼性の高いワイヤレス技術と組込みノウハウを用いて「切れない無線空間」という確実な接続性をもつ無線環境を構築する製品とサービスを提供しています。

SX-SDMAH(JP)はMorse Micro社のMM6108を使用。
IEEE 802.11ah( Wi-Fi HaLow™)規格対応の無線LANモジュールです。Wi-Fiの仲間でありながら1kmの通信距離を実現し、輸送・物流、スマート農業、産業オートメーションなどの分野でWi-Fiの可能性を広げる通信方式として非常に期待されています。
従来のWi-Fi無線モジュールで広く使用されているSDIOインタフェースに対応することで、組込み製品で使用するCPUの選択肢を増やします。また、SDIOを使用し、ホストインタフェースを高速化することで、Wi-Fi HaLow™で実現できる最大スループットを実現します。
SPIホストインタフェースにも対応することで、マイクロコントローラをホストとした小型IoT製品の開発を促進します。
SX-SDMAH(JP)は、SX-SDMAH(US)とのピン互換性を実現していますので、グローバル市場への製品展開をサポートします。

主な製品 SX-SDMAH(JP)
通信規格 IEEE 802.11ah (1x1)
通信速度 最大:15Mbps ※理論値  ※送信時間制限を考慮せず
動作温度 温度条件:-40~85℃ 湿度条件:15~95%RH (結露なきこと)
サイズ(幅×高さ×厚さ) 17.0 × 18.0 × 2.65mm
重量 1.6g
適合済み認証 技術基準適合証明
ホームページ https://www.silex.jp/products/wireless-module/sdio/sxsdmah

加賀FEI株式会社「WKM320AA1」

加賀FEI社は、IoT無線通信モジュールの開発および販売だけでなく、⺠⽣⽤・産業⽤電⼦デバイス製品の販売、アプリケーションボードの開発、設計、販売、マイコンの⺠⽣⽤・産業⽤ ⽤途別組込みソフトの開発および販売、カスタムSoCなどの開発、設計受託および技術サポートなどを行っています。

WKM320AA1は、産業機器市場(ロボット制御などのM2M、バーコード読取りハンディターミナルなど)や給湯器リモコン、照明制御、HEMSなどのIoTに関連したネットワーク向けの無線モジュールです。

主な製品 WKM320AA1
通信規格 IEEE802.11b/g/n
通信速度 最大 72.2 Mbps
動作温度 -30℃~85℃
サイズ(幅×高さ×厚さ) 21.4 x 14.0 x 2.4max mm
重量 非公開
適合済み認証 日本・米国・カナダ電波法認証取得済
*EN300328のConduction Test Reportの準備あり
ホームページ WKM320AA1 Wireless LAN Module | 加賀FEI (kagafei.com)

IoTの活用事例

ここからはIoTモジュールの通信機能を利用して、ネットワーク構成を含め、モバイル通信でIoTを実現させた事例を3つ紹介します。

温浴状態の遠隔監視

アアキテクトデエタラボ株式会社は、温泉や温浴施設がある旅館・ホテルなどの運営者向けに、リアルタイムで温度や湯量を管理できるシステム「ココチー」を提供しています。IoTモジュールが組み込まれた温度計を設置し、温度計のデータはアアキテクトデエタラボ株式会社のクラウド環境にキャリア網経由で収集されます。

ココチーを導入した顧客は、データをスマホから確認でき、人力で温度を確認する作業の手間から解放されます。そして、空いた時間は施設利用者へのサービス向上に注力できます。通信には、3キャリアに対応したNoCode IoT/DX Platform『MEEQ(ミーク)』が採用され、山間の施設でも安定した通信が可能です。

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トランクルームの入館認証

エリアリンク株式会社では、自社が運営する屋内ビルイン型・屋内一棟型のトランクルームで、入館のセキュリティ機器にIoTモジュールが組み込まれたものを採用しています。通信ができるおかげで、認証にSuicaやICOCAといった交通系ICカードが利用可能となりました。

これまでは契約をしても、発行したセキュリティカードの郵送で即日の利用はできませんでした。しかし交通系ICカードを利用可能にすることで、顧客の利便性が向上しました。

通信にはオンライン上で調達できる「MEEQ SIM」を採用し、導入の効率化も図っています。また「MEEQ SIM」のおかげで、通信状況のモニタリングやデータチャージも可能になっています。

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IoTコンピューティング環境の構築

国立大学法人電気通信大学は、学内実施の新型コロナワクチン集団接種の会場で、環境モニタリングを行いました。IoTモジュールによって通信可能になったCO2センサーやAIカメラを活用し、三密や熱中症のリスク回避に役立つ情報を得ることが目的です。収集されるデータを一元管理できるおかげで、データを可視化して適切な判断ができました。

モニタリングは短期間のため、期間限定で利用しやすい「MEEQ SIM」も、IoT製品の活用に役立っています。低消費電力でネットワークを構築でき、集団接種が開催されていた3カ月間は無充電で運用できています。

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IoTモジュールの購入時によくある質問

最後に、IoTモジュールを購入する際の、次の2つの疑問を解説します。

  • IoTモジュールの購入方法は?
  • IoTモジュールの料金体系は?

意志決定の不安をなくすためにも、IoTモジュールを購入する際の参考にしてください。

IoTモジュールの購入方法は?

IoTモジュールは、メーカーの製品ページや販売店のホームページなどから、簡単に購入できます。
ホームページの情報やカタログを見てもわからないことがあれば、些細なことでも問い合わせをしましょう。

通信の料金体系は?

通信の利用にかかる費用は、採用されている通信規格や契約する通信プランによって異なります。

一例として、通信規格がLTEの場合は、従量制と定額制の2つの通信プランでかかる費用は決まります。それぞれの通信プランの特徴は、次の通りです。

従量制
  • メリット
    必要な通信量が小さい場合はコストを抑えやすい
    ひと月のうち数日間だけ通信する等短期間での利用の場合は定額制よりコストが抑えられる場合がある
  • デメリット
    制限がないため通信量に比例してコストも増大する
定額制
  • メリット
    必要なコストの見込みが立てやすく長期の運用に向いている
    大容量向けのプランなどの場合は従量制よりもコストが抑えやすい
  • デメリット
    あまり通信を行わない時期も定額を支払う必要がある

大容量のアップロードが必要なケースでは、上り特化の通信プランがあるところを選ぶと良いでしょう。

IoTモジュールで新たな事業を早期展開

IoTモジュールとは、各種機器でIoTを機能させるための装置や部品です。半導体などの基板上で、無線通信機能やセンサー、プロセッサ、メモリ、入出力ポート、アンテナなどが統合されています。

IoTモジュールを機器に組み込むと、無線回路やコントロールするソフトウェアの設計が不要で、電波を扱う国の認定の省略も可能です。早期にIoTを導入するならば、自社でゼロから開発を進めるより有効です。

採用するIoTモジュールは、通信規格や動作環境、サイズを考慮して、自社にとって最適なものを選びましょう。また、LTEなどの通信規格の利用を予定しているなら、事前に通信プランの検討も必要です。これらの要素を加味して、導入目的に合うIoTモジュールを見つけ出してください。

IoT機器の試作段階で検証用に用いるSIMなど、IoTの通信に関してお困りのことがあれば、ぜひMEEQへお問い合わせください。
お問い合わせはこちらから

※こちらの記事は2024年2月26日時点の情報を記載しております。各種の最新情報・詳細情報につきましては専門機関や各メーカーにご確認ください。

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